鉄を炉で熱し、槌で叩きながら鍛造を行う職人、通称「鍛冶屋」のこと。現代の日本では少なくなったが、ひとつひとつが全て手作業で行われふたつとして同じものがない。装飾が施された門扉や階段の手すりなどのロートアイアン家具を中心に、手作業ならではの槌目や曲線、質感など鉄本来の持つ魅力を最大限に引き出した作品を手がける。
PROFILE時代に逆行するように、あえて手間のかかる作業を選ぶ。
「アーティストである前に職人でありたい。洋服の表じゃなくて、裏地にこだわるタイプなんです」と言う彼は、火を入れ一本ずつロートアイアンのエレメントを産み出していく。立ち姿を見て納得がいくまで修正を加え、綺麗な槌目の表現が出来ているか、理想の色合い鉄本来の発色が出ているか、曲線のバランスは良いかなどをみながら、火造りならではの良さがきちんと出ているかという視点で世界にひとつだけの作品を生み出していく。
美しいダマスカス鋼を生み出す過程においても同じ。
染めなしでは表現が中々難しい白黒のコントラストを出す事に挑戦し、鍛接が難しい素材を使って綺麗な文様を生み出すことに挑む。「素材をどうするかで四苦八苦。でもその分思い描いたものが生み出せた時の感動はヤミツキになるんです」と笑う。
本来はナイフなどに使われていたダマスカス鋼。リクエストは多いけれど刃物は絶対に作りたくないという。目で見て楽しめるもの、疲れた時に見て穏やかになれるものをという想いのもと、パーテーションやお皿、時計の文字盤などが今までに生み出され、使用者の生活を彩っている。
工房には最後の工程を待つ百合の花が一輪。ダマスカスの花を咲かせる時を、今か今かと待っている。
灼熱の炎と格闘しながら鍛錬繰り返し幾重にも重ねた鋼材まるでミルフィーユの様な、それから磨きをかけて酸につけることで独特の紋様を出す手法で製作している。
ダマスカス鋼と呼ばれる由来は、もともとシリアのダマスカス地方で作られていた鋼材で、なんといっても最大の特徴は表面に浮かび上がる水輪のように柔らかな曲線や縞模様である。元来、武具や刀剣に使われていたものだが、その美しい目を生かした装飾品として日常生活の中に取り入れる作品を提案している。
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